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ブラックバイトとは?
ブラックバイトとは?
いま、学生の「ブラックバイト」が話題となっています。
ブラックバイトとは、学生が学生らしい生活を送れなくなってしまうようなアルバイトのことです。正社員並みに働かされることによって講義中に疲労で寝てしまったり、シフトを勝手に決められることによって課外活動や試験に出られなくなってしまったりするケースが増えてきています。バイトリーダーの学生などは、授業中でも職場から連絡が来れば対応しなければなりません。
このようなブラックバイトでは、その多くで違法行為も存在しています。例えば、サービス残業をさせられる、休憩時間が与えられない、ノルマの未達成を理由に商品を買い取らされる、ミスをしたら罰金を払わされる、上司によるパワハラ・セクハラがある、などです。
ブラックバイトの背景
なぜこうした「ブラック」な学生アルバイトが増加してきたのでしょうか?
それは、パートやアルバイト、派遣などの非正規雇用に頼る会社が増えてきたことが関係しています。つまり、人件費の削減のために、かつては正社員だけがやっていたような責任の重い仕事が学生アルバイターのような低賃金の非正規雇用労働者にも押し付けられるになってきたのです。これを、「非正規雇用の基幹化」と言います。
とりわけ、フルタイムで働くフリーターの増加は、学生アルバイトの位置づけを大きく変えました。学生アルバイターも、ある意味彼らを「お手本」とし、企業からの高い要求を受け入れて働かざるをえなくなったのです。
学費の高騰、仕送り額の減少、奨学金制度の不備などによって、多くの学生は、バイトの収入がなければ学生生活を送ることが困難な状況にあります。「たかがバイトだから」と言って簡単に辞めることも難しくなってきているのです。こうした学生の状況につけ込み、学生アルバイターに正社員並みの義務やノルマを課したり、違法な労働をさせたりする企業が増加しています。学生の責任感の強さを利用してあえて重い責任の仕事を与えたり、職場での人間関係を密にしてバイト先を学生にとって学校以上の「居場所」にしたりといったことが意図的に行われている場合もあります。
社会問題としての「ブラックバイト」
このような、従来とは異なる学生アルバイターの働き方を、中京大学国際教養学部の大内裕和教授は「ブラックバイト」と名づけました。大内教授によると、「ブラックバイト」は次のように定義されます。
“学生であることを尊重しないアルバイトのこと。フリーターの増加や非正規用労働の基幹化が進むなかで登場した。低賃金であるにもかかわらず、正規雇用労働者並みの義務やノルマを課されたり、学生生活に支障をきたすほどの重労働を強いられることが多い。”
ブラック企業は、若者を使いつぶしてしまうことで社会問題になりました。ブラックバイトも、育成すべき人材を使いつぶしてしまう構図は同じです。ブラックバイトは学業と両立できなくなるほど学生を働かせることで、教育システムを破壊し、人材育成システムを破壊しています。これが続けば、日本経済、日本社会そのものが成り立たなくなってしまいます。
一方で、ブラックバイトが問題になる以前から、一分単位で時給が払われないとか、サービス残業させられるとかいった違法なアルバイトは日本社会に広く存在してきました。「ブラックバイト」という告発は、そうした違法なアルバイト全般をも射程に捉えることができます。
学生にとってアルバイトは、初めて社会に出て働く場でもあります。違法な働き方をさせられていても、無知や立場の弱さに付け込まれてそれが当たり前だと思ってしまう学生、さらにはしんどいけれど社会経験や就活に役立つ能力を身につけられる場なんだ、とむしろ積極的にとらえてしまう学生は少なくありません。
ブラックバイトの経験をそのままにするのではなく、辞めるときに賃金を請求してみる。試験の日は有給休暇をとってみる。このようにブラックバイトへの対処法を経験しておくことは、ブラック企業に入ってしまったときの大きな備えになるはずです。
まずは、自分のバイト環境を見直してみませんか。ブラック企業対策プロジェクトでは、具体的なブラックバイトの事例をもとに、ブラックバイトの解決方法を紹介します。気になるケースから読んでみてください。